大学無償化法の実施時期や対象大学、補助金額を徹底解説【2019/07/24更新】

最終更新日: 2019/07/26 12:46
大学無償化の解説

低所得世帯(非課税世帯)を対象に、大学や専門学校などの高等教育を無償化する「大学等における就学の支援に関する法律(通称:大学無償化法)」が2019年5月10日に成立しました。2020年4月1日から実際に施行される大学無償化について、現在の方針は「高等教育段階の教育費負担軽減」に記載されています。

この記事は、上の資料が難しくてわからない人向けに解説したものです。大学無償化に興味はあるけれども、対象大学や対象学生など、制度についていまいち把握しきれていない方は参考にしてみてください。

(注:この記事では政策に対する批評批判(メリット・デメリット)は行いません。)

また、現在話題の「幼保無償化」については「幼保無償化(幼児教育・保育の無償化)はいつから?対象家庭や実施時期を徹底解説」をあわせてご利用ください。

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大学無償化の情報は、政策や生活の知恵に関心のある方々にとっては当たり前にキャッチできているものだと思います。しかし、まだまだ大学無償化に関して"自分ごと化"ができていない方も多いのです。

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大学無償化の概要(ポイント)

大学無償化のポイント.png

大学無償化の目的

簡単に説明すると、大学無償化(正式には高等教育の無償化)は、

  1. 金銭的理由で高等教育を受けられない人を減らすことで社会で活躍できる人材を増やす
  2. 教育費の負担を気にして子供を作らない選択をする世帯を減らす

この2点を目的に行う政策です。

大学無償化の対象となる学校種

大学無償化の対象となる学校種は「大学・短大・高等専門学校・専門学校」です。本記事では「大学無償化」と表現していますが、政策名は「大学等における就学の支援に関する法律」とされています

大学無償化の対象

  1. 大学
  2. 短大
  3. 高専
  4. 専門学校

大学無償化の支援内容

大学無償化の支援内容は

  1. 授業料等減免制度の創設
  2. 給付型奨学金の支給の拡充

の2点です。授業料免除のイメージが強いのですが、「給付型奨学金の支給の拡充」も本制度のキモとなるので、覚えておきましょう。

大学無償化の支援対象となる学生

大学無償化の支援対象となる学生は、「住民税非課税世帯」及び「それに準ずる世帯」の学生です。詳細は後ほど記載しますが、減額なしで支援を受けられる学生は年収270万円以下の世帯の者であると覚えておいてください。

また、年収380万円以上の世帯に関しては基本的に大学無償化の恩恵を得られない事も頭に入れておくと良いでしょう。

あくまで大学無償化は母子家庭や父子家庭、何らかの経済的不安を抱えた家庭に対する支援なのです。

CLABELでは年収270万円前後世帯の生活調査なども行なっておりますので、合わせてご利用ください。

大学無償化の実施時期

大学無償化はいつからかと言いますと、実施時期は2020年4月です。

大学無償化の詳細(授業料等減免・給付型奨学金)

大学無償化のポイント2

大学無償化の2本の柱として「授業料など減免」と「給付型奨学金の拡充」があります。

授業料免除は学生が学ぶ場に参画する機会を与える事が目的で、給付型奨学金の拡充は学生が学業に専念するために必要な生活費を賄う事が目的と覚えておくと良いでしょう。

大学無償化の授業料等減免

授業料減免の上限額

大学無償化における授業料免除の上限額は以下の通りです。

国公立私立
入学金授業料入学金授業料
大学約28万約54万約26万約70万
短大約17万約39万約25万約62万
高専約8万約23万約13万約70万
専門約7万約17万約16万約59万

出典:文部科学省

授業料減免の考え方

上限額の考えとしては、国公立は入学金・授業料のどちらも省令で規定されている国立の学校種ごとの標準額まで減免。ざっくり言うと国公立の大学は授業料と入学金がほぼ全額免除されます。

私立大学に関しては、だいたい75%前後の授業料と入学金が免除されると考えていただけるとわかりやすいでしょう。

大学無償化の給付型奨学金

給付型奨学金の給付額

大学無償化における給付型奨学金の給付額は以下の通りです。

大学・短期大学・専門学校
国公立私立
自宅約35万約46万
自宅外約80万約91万
高等専門学校
学生生活費の実態に応じて、大学生の5割~7割程度の額を措置

出典:文部科学省

世帯年収別大学無償化の恩恵

世帯年収別に大学無償化の恩恵を計算すると、以下の表の通りになります。

世帯年収別入学金減免額

年収270万未満年収300万未満年収380万未満
国立私立国立私立国立私立
大学28万26万19万17万9万9万
短大17万25万11万17万6万8万
高専8万13万5万9万3万4万
専門7万16万5万11万2万5万

上記の数値は収入や学校によって上下します。参考値としてご覧ください。

世帯年収別授業料減免額

年収270万未満年収300万未満年収380万未満
国立私立国立私立国立私立
大学54万70万36万47万18万23万
短大39万62万26万41万13万21万
高専23万70万15万41万8万23万
専門17万59万11万39万6万20万

上記の数値は収入や学校によって上下します。参考値としてご覧ください。

世帯年収別給付型奨学金額

年収270万未満年収300万未満年収380万未満
国立私立国立私立国立私立
自宅35万46万23万31万12万15万
80万91万53万61万27万30万

出典:文部科学省

大学無償化の例

年収260万円世帯で国立大学に自宅から通う場合

学年減免額給付金
入学金学費
1年約28万約54万約35万
2年-約54万約35万
3年-約54万約35万
4年-約54万約35万
約28万約216万約140万

年収260万円世帯の者が自宅から国立大学に通う場合の減免額と給付金は、上記の表を参考にしてください。

年収370万円世帯で私立大学に自宅外から通う場合

学年減免額給付金
入学金学費
1年約9万約23万約30万
2年-約23万約30万
3年-約23万約30万
4年-約23万約30万
約9万約92万約120万

年収370万円世帯の者が自宅外から私立大学に通う場合の減免額と給付金は、上記の表を参考にしてください。

大学無償化支援の対象者

大学無償化のポイント3

ここまでの解説で理解していただけたように、大学無償化支援はこれまで学費がボトルネックとなり高等教育を受けられなかった者に対する支援と、高等教育を子供に受けさせる事ができない経済状況から子供を持つことを控えていた夫婦に対する支援が成される素晴らしい政策です。

しかし、対象者の修学意欲が低く、モラトリアムの延長として大学進学を考える者が現在のように多く存在すると、社会で自立し、活躍できる人材を育成する事が困難になります。

そのため、大学無償化支援は対象者を定める必要があるのです。

大学無償化の目的は、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになる事です。そのため、以下の要件を設定しています。

家計の所得や資産制限に関する要件

所得

市町村税の所得割の課税業純額×6%-(調整控除の額+税額調整額)

  • 第Ⅰ区分(標準額の支援) 100円未満
  • 第Ⅱ区分(標準額の2/3支援) 100円以上~25,6000円未満
  • 第Ⅲ区分(標準額の1/3支援) 25,600円以上~51,300円未満

自身がどの区分に該当するかは、日本学生支援機構「奨学資金シミュレーター」をご利用ください。

資産

資産およびその生計維持者の保有する合計額が、以下の基準額に該当すること。

  • 生計維持者が2人の場合、2,000万円未満
  • 生計維持者が1人の場合、1,250万円未満

学業成績・学修意欲に関する要件

高校3年生時
高校2年次までの評定平均値が、
3.5以上...進路指導等において学習意欲をみる
3.5未満...レポート又は面談により学習意欲を確認する
(高卒認定を経て大学等へ進学する意思のあるものは、高卒認定試験の受験・合格を持って学習意欲があるものとみなす)
大学1年生時
(1)進学前の平均評定値が算出できる場合
①高校の評定平均値が3.5以上であること
②学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること
(2)進学前の平均評定値が算出でない場合
①入学試験の成績が入学者の1/2以上であること
②高卒認定試験の極各社であること
③学修計画書の提出を求め、学習の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること
大学2~4年生時
在学する大学等における学業成績についてGPA等が上位1/2以上であること、または次のいずれも該当すること
①修得単位数が標準単位数以上であること
②学習計画書の提出を求め、学習の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること

出典:文部科学省

国籍・在留資格に関する要件

  • 日本国籍を有する者
  • 法定特別永住者として日本に在留する者
  • 永住者、日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって日本に在留する者
  • 同表の定住者の在留資格をもって日本に在留する者で永住者もしくは永住者の配偶者等に準ずる者とその者が在学する学校の長が認めた者

大学等に進学するまでの期間に関する要件

  • 高校等を卒業後2年の間に入学が認められ進学した者
  • 高卒認定試験合格者等については、当該試験を受けることができる者となった日の属する年度から5年を経過していない間に当該試験の合格者となり、合格後2年の間に入学が認められ進学した者
  • 「個別の入学資格審査」を経て大学等への入学を認められた者については、上記の要件に準じて20歳以下で大学等へ進学した者

支援が打ち止めになる要件

学業・人物に関わる要件
・高校在学時の成績のみならず、高等学校がレポートの提出や面談等抜により対象者の学習意欲や学習状況を確認
大学への進学後はその学習状況等について一定の要件を課し、これに満たない場合には授業料の減免や給付金を停止する
具体的に警告無しで大学無償化が打ち止めになる
ⅰ 大学等により、退学・停学その他の処分を受けた場合
ⅱ 修業年限で卒業できないことが確定したと大学等が判断した場合
ⅲ 1年間に修得した単位数が年間の標準的な修得単位数の5割以下の場合
ⅳ 1年間の出席率が5割以下であるなど学習意欲が著しく低いと大学等が判断した場合
毎年度の確認に置いて大学が「警告」を行い、それを連続で受けた場合に大学無償化が打ち止めになる
ⅰ 1年間に修得した単位数が年間の標準的な修得単位数の6割以下の場合
ⅱ GPA(平均成績)等の客観的指標が学生の所属する学部等において下位4分の1に属する場合ⅲ 1年間の出席率が8割以下であるなど学習意欲が低いと大学等が判断した場合

出典:文部科学省

要するに大学に遊びに行く人用の支援じゃないよって事

要するに、「真面目に勉強したい事があって、勉強する人以外に大学無償化は適用されませんよ」って事ですね。審査の精度などが気になるところではありますが、そこはこれから細かく設定される事でしょう。

大学無償化の財源は、少子化に対処するための施策として、消費税率引き上げによる財源を主に活用しています。勉強しないでも入れるような大学に入って酒を飲んで麻雀をして留年する学生に使うためのお金ではないのです。

大学無償化の対象大学

大学無償化のポイント4

2019年1月現在、残念ながら教育と研究を両立できていない大学は一定数存在するようです。そのような大学は大学無償化対象として適当では無いとされています。以下、大学が高等教育の無償化対象となるための要件です。

大学の要件

大学の要件
1.実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること
2.法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること
3.授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること
4.法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること
経営に課題のある法人の設置する大学の扱い
・法人の貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近の決算でマイナス
・法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3カ年の決算で連続マイナス
・直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合

出典:文部科学省

要するに教育機関として役割破綻している大学は支援対象では無いって事

要するに、「経営に問題がある大学は大学無償化の支援対象外ですよ」って事ですね。実際に収容定員の8割を割っている大学は例年約100校あります。大学無償化はそのような大学を救済する措置では無いのです。

大学無償化の手続き方法

大学無償化の手続き方法

高校生の場合の手続き方法

大学無償化申請の流れ

  1. 申し込み関係書類の受け取り、識別番号、提出期限の確認
  2. 「スカラネット入力準備用し」の記入、提出書類の作成・取得
  3. スカラネットでの申し込み入力
  4. 受付番号の記入
  5. 申請書類の提出・マイナンバーの送付
  6. 申し込み手続き完了

大学無償化手続きのスケジュール

時期やること詳細
5月調査自分が高等教育の就学支援新制度の対象かどうかを調べましょう。
6月
7月頃申請自分が高等教育の就学支援新制度の対象かもと思ったら、学校の先生に相談しながら、インターネットを使ってJASSOに申し込みましょう。
9月下旬確認高等教育の就学支援新制度の対象となる大学等が発表されます。自分の進学予定の学校が対象と認定されたかを確認しましょう。
12月頃決定審査結果の通知がJASSOから高校等に届きます。
2020/4開始入学後にJASSOに進学届けを提出。
授業料と入学金の減免の手続きは進学時に進学先の学校で行います。

出典:文部科学省

大学無償化手続きに関する資料

大学無償化の手続きに関しては、文部科学省の発行している資料が非常にわかりやすく、我々が解説するよりも直接読んだ方が良いので、以下のURLからご覧ください。

在学生の場合の手続き方法

文部科学省の公式発表までお待ちください。

大学無償化Q&A

大学無償化のポイント5

Q.給付型奨学金を返還する必要はありますか?

A. 大学等から退学・3ヶ月以上の定額の懲戒処分を受けた場合や進学先の大学等で成績が著しく不良出会った場合、もしくは偽りその他不正の手段によって支援を受けた場合には返還(支援額の最大1.4倍)を求められる場合があります

偽装離婚などによる不正受給は絶対にNG

大学無償化の話をするとき、偽装離婚等の課題が付随してきますが、そのような不正受給が判明した場合、授業料の減免と給付型奨学金の給付は打ち切られ、支援額の最大1.4倍を返還する必要があります

Q.生活保護世帯の子供でも大学無償化を受けられますか?

A. 生活保護世帯の子供も大学無償化の対象となります。しかし、進学者本人は世帯の生活保護からはずれ、本人分の生活保護費が支給されなくなります。

Q.2019年現在、大学に在学している学生も大学無償化の対象ですか?

A.大学無償化の対象です。

Q.資産を持っていて給与所得の無い人は大学無償化の対象ですか?

A. 生計維持者が2人の場合は資産2,000万円未満、生計維持者が1人の場合は資産1,200万円未満が大学無償化支援の対象者となります。

大学無償化の参考資料リスト

まとめ

以上「大学無償化の実施時期や対象家庭、補助金額を徹底解説」でした。大学無償化に関する新しい情報を入手次第このページを更新しますので、大学無償化に興味のある方は、ぜひこの記事をチェックしておいてください。

また、現在話題の「幼保無償化」については「幼保無償化(幼児教育・保育の無償化)はいつから?対象家庭や実施時期を徹底解説」をあわせてご利用ください。

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大学無償化の情報は、政策や生活の知恵に関心のある方々にとっては当たり前にキャッチできているものだと思います。しかし、まだまだ大学無償化に関して"自分ごと化"ができていない方も多いのです。

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