労働者派遣法の改正による派遣社員の待遇と今後の展望は?

最終更新日: 2019/01/21 18:56
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労働者派遣法という法律が、2015年に改正されました。この改正によってさらなる派遣社員のキャリアアップと雇用の安定が期待されています。

しかし、2019年を迎えた現在、派遣法の改正が当初想定していた期待通りにならない可能性が浮上しているのです。

今回は、そんな労働者派遣法についての解説や、改正に伴う派遣社員の待遇の変化と今後の展望について紹介していきます。

現在、派遣社員として働かれている方は要注目です!

そもそも労働者派遣法とは?

労働者派遣法は、派遣社員の雇用の安定を支える法律

人材派遣が認められていなかった1986年に、派遣事業を認める法律として誕生したのが労働者派遣法でした。それから、何回もの改正を通じて、派遣対象事業が拡大されたり、派遣社員の雇用の安定が図られてきました。

実際に、日雇派遣の原則禁止やグループ企業内派遣の規制などが決めらたのも2012年の派遣法改正です。

2015年の労働者派遣法改正で何が変わったの?

2015年の労働者派遣法改正によって、以下の5つが新たに決められました。

  1. 全ての派遣事業が許可制に一本化
  2. 派遣期間の原則上限3年化
  3. 派遣労働者のキャリアアップ支援
  4. 派遣先社員との均衡待遇
  5. 労働契約申込みみなし制度

1 全ての派遣事業が許可制に一本化

2015年の派遣法改正前まで、特別労働者派遣事業は届出制、一般労働者派遣事業は許可制でした。しかし、2015年の派遣法改正によって、全ての労働者派遣事業を許可制としました。

これにより、派遣先や派遣社員が違法な派遣会社と契約してしまうというリスクが減りました。

2 派遣期間の原則上限3年化

2015年の派遣法改正前まで、政令26業務に関しては派遣期間に制限がありませんでした。しかし、2015年の派遣法改正によって政令26業務に関わらず、全ての業務で派遣期間が原則上限3年になりました。

また、雇用安定措置として、同一の組織単位に3年間派遣される見込みの有る派遣社員に対しては、派遣会社は派遣先に直接雇用を頼んだり、新しい派遣先を提供しなくてはいけません。したがって、派遣社員は3年終了後に派遣先から直接採用される可能性が高まるなど、キャリアアップを期待できるようになりました。

3 派遣労働者のキャリアアップ

派遣元事業主が派遣社員に対しての教育訓練の実施や、希望者に対するキャリアコンサルティングをすることが義務付けられたのも、2015年の派遣法改正です。

この派遣労働者に対するキャリアアップ支援によって、正社員になりたい派遣社員を支援する体制が作られました

4 派遣先社員との均衡待遇

2015年の派遣法改正で、派遣労働者と派遣先で同じの業務をしている労働者の均衡を図るために、両者のバランスを取りながら、派遣元と派遣先は賃金や福利厚生を決定したり、教育訓練を行ったりする責務が課せられました。

これにより、派遣社員も派遣先の正社員や契約社員と同じだけの賃金や福利厚生を受けられるようになりました。

5 労働契約申込みみなし制度

2015年の派遣法改正で誕生した労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が違法派遣に対して直接雇用を申し込んだとみなすという制度です。

この制度の導入によって、違法派遣を受け入れる企業を減らすだけでなく、派遣社員が違法に働かされる事を防いだり、直接雇用が保証されるという効果があります。

労働者派遣法の改正によって派遣社員の今後はどうなる?

実は、派遣社員のキャリアアップと雇用の安定を目的とした2015年の派遣法改正でしたが、逆に派遣社員が雇い止めされる可能性があるのです。この問題を「2018年問題」と言います。

「2018年問題」と派遣社員の雇い止め

2015年の派遣法の改正によって派遣社員は3年以上、同じ派遣先で働けなくなりました。そのため、同一の組織単位に3年間派遣される見込みのある派遣社員に対しては、派遣元は派遣先に直接雇用を頼んだり、新しい派遣先を提供しなくてはいけないのです。

したがって、人件費が増えるという理由から派遣社員の直接雇用を嫌がる派遣先は、派遣社員を雇ってから3年経つ前に派遣社員を雇い止めしてしまう可能性があります。そうなると、派遣社員は派遣先を失ってしまうだけでなく、正社員になるというキャリアアップも果たせません。

まとめ

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いかがでしたでしょうか。今回は、労働者派遣法の解説や、改正に伴う派遣社員の待遇の変化や今後の展望について紹介しました。

上記の通り、2015年の労働者派遣法の改正によって、派遣社員の待遇がよくなることが期待される一方で、逆に雇用がなくなってしまったり、キャリアアップを望めなくなるのではないかという問題が浮上しています。

だからこそ、派遣社員の待遇の変化について、今後も引き続き注目していく必要がありますね。

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